AIチャットボットとは?仕組みと活用例、導入前に知りたい注意点

AIチャットボットとは?仕組みと活用例、導入前に知りたい注意点

更新日:2026/10/21

AIチャットボットは、顧客からの問い合わせや社内のヘルプデスクで、人に代わって質問に答える仕組みとして使われています。本記事では、シナリオ型との違いや仕組み、メリット・デメリット、選び方、業務での活用例、導入手順を解説します。

AIチャットボットとは?

AIチャットボットとは?仕組みと活用例、導入前に知りたい注意点-1

AIチャットボットとは、AIが利用者の入力した質問の内容を解釈し、用意された情報や学習した知識をもとに回答する対話型のプログラムです。「チャット(会話)」と「ボット(ロボット)」を組み合わせたチャットボットの一種で、Webサイトや社内のツール上で、人の代わりに問い合わせに答えます。

チャットボットが回答を返す方法には、登録済みの回答から質問に合うものを選ぶ方式と、生成AIがその場で文章を作る方式があります。ただ、AIを入れれば自動的に正しい回答が返るわけではありません。正しく答えさせるには、回答のもとになる情報を用意し、届いた質問をもとに少しずつ精度を上げていく必要があります。

AIチャットボットの種類とシナリオ型との違い

本記事では、チャットボットを回答の決め方によって、シナリオ型・AI型・ハイブリッド型の3つに分けて解説します。なお、登録した辞書と入力された文章を照らし合わせて回答を返す方式を「辞書型」として分け、4つに分類する場合もあります。本記事では、辞書型を、用意した回答だけを返す点でシナリオ型に近い方式として扱います。

種類

回答の決め方

運用で手間がかかる点

シナリオ型

用意したボタンと分岐に沿って案内する

分岐の設計と、想定外の質問への対応

AI型

質問の文章を解釈し、登録した情報や学習済みの知識をもとに答える

回答のもとになる情報の更新と、誤回答の洗い出し

ハイブリッド型

シナリオとAIを組み合わせる

2つの方式の使い分けの設計

3つの種類で大きく違うのは、答えられる範囲を広げる方法です。シナリオ型は、分岐と回答を追加し、動作を確かめて範囲を広げます。AI型は、質問に関係する資料を追加すると、答えられる範囲を広げられます。ハイブリッド型は、定型の質問をシナリオで受け、それ以外をAIで答える形で、2つの方法を組み合わせる方式です。

誤った回答を返しにくいのが、シナリオ型の強みです。利用者が表示されたボタンを選んでいくと、あらかじめ決めた分岐に沿って回答にたどり着くため、用意した回答以外は返りません。ただし、分岐や回答文に誤りがあれば、そのまま案内されます。

一方で、分岐にない質問には答えられず、質問の種類が増えるほど分岐の設計は複雑になります。想定外の質問が多い窓口では、有人の窓口へつなぐ分岐を必ず用意しておきましょう。

AI型:質問の内容を解釈して回答する

利用者が自由に入力した文章からAIが質問の意図を解釈し、登録した情報や学習済みの知識をもとに答えるのがAI型です。「パスワードを忘れた」「パスワードが思い出せない」のように表現の違う質問を同じ意図として扱えるため、言い回しごとに回答を用意せずに済みます。

AI型のうち、生成AIを使う方式は「生成AI(LLM)型」と呼ばれます(LLMは大規模言語モデルの略)。生成AI(LLM)型は、学習済みの知識や登録した資料をもとに回答の文章をその場で組み立てるため、回答をすべて用意しなくても幅広い質問に答えられます。

ハイブリッド型:複数の方式を組み合わせる

ハイブリッド型は、シナリオ型とAI型の方式を組み合わせた型です。たとえば、よくある手続きはボタンの分岐で案内し、それ以外の質問をAIに振り分ける設計ができます。

AIチャットボットが回答する仕組み

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登録した回答や資料を参照するAIチャットボットの場合、回答を返すまでの流れは、質問の入力・意図の解釈・情報の参照・回答の提示の4段階です。

1. 質問の入力:利用者がチャット画面に質問を入力する

2. 意図の解釈:AIが文章から、利用者が何を知りたいのかを判断する

3. 情報の参照:登録した回答やマニュアル、FAQなどから、質問に関係する情報を探す

4. 回答の提示:見つけた情報をもとに回答を返す。答えられない質問は、設定に応じて有人の窓口や連絡先へ案内する

生成AIを使うチャットボットでは、3の段階で社内の資料を検索し、4の段階でその内容を生成AIに渡して回答を作らせるRAG(検索拡張生成)という方法があります。Googleの解説によると、検索で得た情報を回答のもとにすることで、生成AIの誤った回答を減らせるとされています。

とはいえ、RAGは誤った回答を完全に防ぐ仕組みではありません。参照する資料が古かったり、資料に答えが書かれていなかったりすると、誤った回答につながるおそれがあります。

※参考:Google Cloud「検索拡張生成(RAG)とは」

AIチャットボットのメリット

AIチャットボットのメリットは、利用者の待ち時間の短縮、繰り返しの問い合わせの削減、必要な情報の探しやすさの3つです。どのメリットも、自動で答えられる質問が多い窓口ほど大きくなります。

メリット

利用者

担当者

待ち時間を短縮できる

自動で答えられる質問なら、営業時間外でも回答を得られる

時間外の問い合わせへの対応を減らせる

繰り返しの問い合わせを減らせる

簡単な質問をすぐに解決できる

個別の相談に時間を回せる

必要な情報を探しやすくなる

参照できる資料があれば、ページを探さずに答えにたどり着ける

担当者にとっても、共通の資料をもとに答えるため、人によって案内がばらつくのを抑えやすくなります。

待ち時間を短縮できる

電話やメールの窓口では、営業時間外や混み合う時間帯に、利用者が回答を待つことになります。チャットボットが自動で答えられる質問なら、夜間や休日にその場で案内でき、翌営業日まで利用者を待たせません。

すぐに解決できる質問をチャットボットで受ければ、有人の窓口が混み合う時間帯の待ち時間を短くできます。待ち時間が理由で問い合わせをあきらめていた利用者を取りこぼしにくくなります。

繰り返しの問い合わせを減らせる

手続きの方法や料金、営業時間のように、同じ内容の質問が何度も届く窓口は珍しくありません。こうした質問をチャットボットが受け持てば、担当者は個別の判断が要る相談に時間を使えます。

たとえば社内のヘルプデスクでは、経費精算の手順や休暇の申請方法といった定番の質問を、チャットボットに任せやすいです。情報システムや総務の担当者が同じ説明を繰り返す時間が減り、本来の業務に集中しやすくなります。

必要な情報を探しやすくなる

Webサイトや社内のマニュアルの情報が多いと、目当ての情報を探すのに時間がかかるものです。AIチャットボットが参照する資料を用意しておけば、知りたいことを文章で入力するだけで関係ページや資料の内容が案内され、別途探す手間を省けます。

AIチャットボットのデメリット

AIチャットボットのデメリットは、誤った回答のおそれ、回答データの管理の手間、機密情報の扱いの3つです。

誤った回答をするおそれがある

生成AIを使うチャットボットは、資料に答えがない質問などで、事実と違う内容を正しいかのように答えることがあります。この現象は「ハルシネーション」と呼ばれます。料金や契約、法令にかかわる案内で誤れば、利用者とのトラブルになりかねません。

こうした誤りの影響が大きい質問は、シナリオ型で確認済みの回答だけを返すか有人の窓口へつなぐと、誤った案内を減らせます。

回答データの管理に手間がかかる

参照する資料が古いままだと、チャットボットが古い内容を案内するおそれがあります。商品の仕様や料金、社内の規程が変わるたびに、資料の更新が欠かせません。

資料を更新する担当者と頻度を、運用を始める前に定めておきましょう。たとえば、料金表や社内規程が改定される場合は、所管の部署が適用開始日に合わせて差し替えるといった決め方です。あわせて、チャットボットが答えられなかった質問の記録を月に1度など定期的に洗い出すと、資料の抜けを早く埋められます。

機密情報の扱いに注意が必要になる

社内の資料や顧客とのやり取りを読み込ませるなら、入力した情報がAIの学習に使われないかに注意が必要です。個人情報保護委員会は2023年6月2日の注意喚起において、本人の同意なく生成AIサービスへ個人データを入力する場合は、機械学習に使われないことなどを十分に確認するよう事業者に求めています。

サービスを選ぶ段階で、学習への利用の有無、データの保存場所、閲覧できる人の範囲を提供会社に確認しておきましょう。

※参考:個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/)

チャットボットのAI型とシナリオ型の違いは?窓口に合う方式の選び方

AI型とシナリオ型は、窓口に届く質問の形と、回答をどこまで固定しておきたいかで選びます。

比べる観点

AI型が向く場合

シナリオ型が向く場合

質問の種類

表現がばらつき、種類が多い

種類が少なく、形が決まっている

回答の自由度

生成AIで、資料をもとに柔軟な文章で答えたい

決めた分岐に沿って、用意した回答を返したい

誤回答への備え

誤回答に備えて、有人への切り替えを組み込める

用意した回答以外は返さない

運用の手間

資料の更新と回答の確認に人を割ける

分岐と回答文の更新、動作確認を続けられる

実際に決めるときは、窓口に届いた過去の質問を使います。問い合わせの記録を、答えが1つに決まる質問と、内容や言い回しが毎回違う質問とに分けて数えます。前者が大半ならシナリオ型、後者が多ければAI型に向いた窓口です。

ただし、AI型のほうが新しいからといって、どの窓口にも合うとは限りません。答えが決まった質問と表現のばらつく質問が同じくらい届く窓口では、ハイブリッド型を検討してください。ハイブリッド型にすれば、料金の支払い方法や手続きの案内のように決めた内容を返したい質問はシナリオ型で受け、それ以外をAI型に任せる構成にできます。

方式が決まったら、チャットボットのおすすめ22選で、用途ごとにサービスを比べてみてください。

AIチャットボットの活用事例|業務別に自動化の範囲を紹介

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AIチャットボットの活用例として、顧客からの問い合わせ、社内のヘルプデスク、商品やサービスの案内の3つを紹介します。いずれも自動で答える範囲と、人に引き継ぐ場面を前もって定めておくことが大切です。

業務

自動で回答する範囲

人に引き継ぐ場面

顧客からの問い合わせ

手続きの方法、営業時間、よくある質問

苦情、返金や契約の変更、個別の事情がある相談

社内のヘルプデスク

パスワードの再設定の手順、申請の方法、社内規程の案内

権限の付与、システムの障害、人事にかかわる相談

商品・サービスの案内

機能の説明、料金プランの違い、資料の案内

見積もりの依頼、導入の個別の相談

表のとおり、答えが決まっている質問は自動で受け、判断や個別の事情が絡む相談は人に回すのが基本の線引きになります。顧客からの問い合わせのうち苦情は、相手の事情を聞いて対応を決める相談です。チャットボットで受け答えを続けず、早めに担当者へつなぐ分岐を設けておきましょう。

社内のヘルプデスクでは、チャットボットに届いた質問の記録から、社員がつまずきやすい手続きがわかります。質問が集中している手続きから順に、マニュアルの説明を補うのが効果的です。

商品・サービスの案内では、料金プランの違いのような比較の質問に営業時間外に答えておけば、導入を考えている顧客が翌営業日を待たずに比較を進められます。見積もりや導入の相談に進んだ段階で営業の担当者へつなぐと、関心の高い顧客との接点を逃しにくくなります。

AIチャットボットを導入する手順

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AIチャットボットの導入は、対象の問い合わせを決め、回答に使うデータを準備してサービスを選び、実際の質問で試験運用してから本番に移る流れで進めるのが基本です。

手順

やること

事前に定めること

1. 対象の問い合わせを決める

過去の問い合わせの記録から、件数が多く答えが決まった質問を選ぶ

任せる窓口や業務の範囲

2. 回答に使うデータを準備し、サービスを比べる

FAQやマニュアルを集めて最新にそろえ、サービスの候補を比べる

登録する資料、費用・連携・セキュリティ・有人への切り替えの条件

3. 実際の質問で試験運用する

過去の質問で回答を試し、資料を直してから公開する

本番に移る判断の基準、公開後に資料を更新する体制

手順2でサービスの候補を、確かめたい条件に照らして比べておくと、試験運用に移ってから要件の食い違いに気づく事態を避けやすくなります。

対象の問い合わせを決める

まず、チャットボットに任せる問い合わせの範囲を決めます。過去の問い合わせの記録を集め、件数が多く、答えが決まっている質問から対象にしましょう。

問い合わせの記録が残っていない場合は、窓口の担当者が受けた質問を1〜2週間ほど書き留めておくと、件数の多い質問がわかります。月末や繁忙期に質問が偏る窓口では、記録する期間を延ばすと偏りを避けやすくなります。

範囲を広げすぎると、回答の精度を高める作業が追いつきません。最初に1つの窓口、1つの業務に絞り、効果を確かめてから広げていきます。

回答に使うデータを準備し、サービスを比べる

対象が決まったら、チャットボットが参照するFAQやマニュアル、社内の資料を集めます。古い情報や、部署ごとに内容が食い違う資料が混ざっていると、回答がぶれるため、内容を最新にそろえてから登録しましょう。

あわせて、以下をもとにサービスを比較検討してください。

・費用:初期費用、月額の料金、質問の件数に応じた課金の有無

・連携:自社のWebサイトや社内のチャットツール、顧客管理システムと連携できるか

・セキュリティ:学習への利用の有無、データの保存場所、閲覧できる人の範囲を、自社の情報管理の基準で満たせるか

・有人への切り替え:回答できない質問を担当者に引き継げるか

どの観点を重視するかは、窓口の性質で変わります。顧客の個人情報を扱う窓口ならセキュリティ、社内のチャットツールで使うなら連携を優先して候補を比べます。

候補を絞ったあとの決め手は、機能の一覧よりも、自社に届く質問への答え方です。過去の問い合わせから件数の多い質問をいくつか選んで試用の場で入力すれば、回答の正確さや有人への引き継ぎ方を同じ条件で比べられます。

実際の質問で試験運用する

本番の前に、過去に届いた質問でチャットボットが正しく答えられるかを試します。社内の担当者に使ってもらい、誤った回答や答えられなかった質問を記録してください。

このとき、正しく答えられた質問の割合や有人の窓口へ引き継いだ件数を数えておけば、本番に移るかを判断する根拠になります。

誤った回答をもとに資料や設定を直し、正しく答えられる割合と有人への引き継ぎが事前に決めた基準を満たしたのを確かめてから公開します。影響の大きい誤回答が残る場合は、回答する範囲を絞り直すのが先です。公開後は、届いた質問をもとに資料の更新を続けましょう。

まとめ:AIチャットボットは業務に合う方式で導入しよう

AIチャットボットには、待ち時間の短縮・繰り返しの問い合わせの削減・情報の探しやすさといったメリットがあります。一方で、誤った回答のおそれ・回答データの管理の手間・機密情報の扱いには備えが必要です。

導入方式は、窓口に届く質問の内容で選びます。答えが決まった質問が多ければシナリオ型、表現のばらつく質問が多ければAI型、両方が届く窓口ではハイブリッド型が候補になります。導入は、対象の問い合わせを絞って資料を最新にし、過去の質問で試験運用してから本番に移る流れで進めましょう。

自社に届く質問を試用の場で入力し、回答の正確さや有人への引き継ぎ方で比べると、サービスを選びやすくなります。サービスの候補は、チャットボットのおすすめ22選や、BIZNAVIのチャットボットのサービス一覧から探してみてください。

AIチャットボットに関するよくある質問

AIチャットボットについて、よくある質問にお答えします。

生成AIのチャットサービスとAIチャットボットの違いは?

汎用の生成AIのチャットサービスも、AIチャットボットの一種です。両者の違いは、参照する情報と答える範囲にあります。汎用のサービスが幅広い話題に答えるのに対し、企業の問い合わせ窓口で使うAIチャットボットは、自社の資料を参照させたり、答える業務の範囲を絞ったりして使われています。

複数の言語で問い合わせに対応できる?

日本語以外の言語に対応できる製品はありますが、対応する言語や使える機能は製品ごとに異なります。外国語で届いた質問を試験運用で入力し、商品名や業界の用語まで正しく扱えるかを確認しておきましょう。

音声での問い合わせにも使える?

話した言葉を文字にする音声認識や回答を読み上げる音声合成に加え、電話回線との連携に対応した製品なら、電話の自動応答にも使えます。音声の機能や電話連携の料金が文字のチャットの料金に含まれるかは製品によって異なるため、通話にかかる費用を含めて見積もりを取りましょう。

画像やPDFを読み取って回答できる?

PDFのマニュアルや資料を読み込ませて回答できる製品はあります。ただし、扱えるファイルの形式や容量、画像の中の文字への対応は製品ごとに異なるため、事前の確認が欠かせません。

AIチャットボットの費用はどう決まる?

費用は、方式(シナリオ型かAI型か)、参照させる資料の量、質問の件数に応じた課金の有無、社内システムとの連携の有無などによって変わります。初期費用や月額の料金に加え、資料の更新など社内の作業時間もかかるため、それらを含めた総額で費用対効果を比べましょう。

BIZNAVI編集部
執筆者

BIZNAVI編集部

株式会社DYMが運営する、法人向けサービスの比較・検索メディア「BIZNAVI byDYM」の編集部。 勤怠管理・会計・生産管理などの業務システムやSaaSに加え、営業代行・Web制作・記事作成代行・SNS運用代行といった業務支援サービスまで、幅広い領域の法人向けサービスを調査・比較し、導入検討に役立つ情報を発信している。 各サービスの機能や料金、提供形態、導入実績などの公開情報をもとに、目的や条件に応じて比較しやすい形で整理することを重視してコンテンツを制作。企業が抱える業務課題や実際の活用シーンを踏まえ、自社に合ったサービス選びと、検討から意思決定までをスムーズに進めるための情報提供を行っている。

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